『張自烈「正字通」字音研究』

『張自烈「正字通」字音研究』
■書名:『張自烈「正字通」字音研究』
■著者:古屋昭弘

■ISBN 978-4-87220-100-0
■体裁 A5判/352p 【上製・函入】
■本体価格 7,000円

『正字通』は『康煕字典』の藍本のひとつとして、明万暦年間刊の梅膺祚『字彙』と並び称される大型字書である。清康煕十年(1671)に初刻本が出て数年後、早くも日本に舶載され、江戸時代を通じてよく利用された。しかしながら清朝では「引用が煩瑣で誤りも多い」(徴引繁蕪、頗多舛駁)というような評価を受けることも多く、現代に至るまでそれ自体が研究対象となることは稀であった。今回『正字通』の音釈、特に反切を全面的に調査した結果、それに江西贛方言地区の一方言音(おそらく読書音)を反映していることが判明した。方言史・音韻史の資料として貴重であり、本書の目的もこの方言音の体系的な再構に置かれる。(序章より)

【目次】
第1部 歴史・版本篇
第1章 張自烈と『字彙辯』―『正字通』の成書過程―
張自烈について/廖文英について/張・廖二氏の係わり/『字彙辯』と『正字通』/「十二字頭」等について/成書の背景/『正字通』の特徴
第2章 『正字通』の版本について
『正字通作者辯』/内閣文庫蔵白鹿書院本/東京大学蔵白鹿書院本/劉炳補修本/清畏堂本/弘文書院本/三畏堂本/芥子園本/その他
第3章 金堡「刊正正字通序」と三藩の乱
金堡「刊正正字通序」/劉炳「刊正正字通序」/金堡の交友関係
第4章 張自烈『增補字彙』について
はじめに/『增補字彙』について/『正字通』との関係/音注について
第5章 張自烈年譜稿
附論 明刊『箋註陶淵明集』のことなど 『箋註陶淵明集』/『真山人後集』/『陪集』

第2部 音韻篇
第1章 『正字通』と17世紀の江西方音
声母の面での特色/韻母の面での特色/声調の面での特色
第2章 白鹿書院本『正字通』最初期の音注
二種類の白鹿書院本/音注の対照および『增補字彙』との関係/山咸二摂の音注
第3章 白鹿書院本『正字通』声韻調の分析
音注について/反切系聯法の問題点/声調相配の問題/白鹿書院本『正字通』の声母/反切上字系聯表/白鹿書院本『正字通』の韻母/反切下字系聯表/白鹿書院本『正字通』の声調
第4章 同音字表
第5章 『正字通』における中古全濁上声字の扱い
はじめに/中古全濁上声/声調をめぐる議論/「叶音」としての処理/結び/資料

附論 『芑山詩集』と張自烈の読書音
はじめに/詩について/訳注五首/おわりに/資料:『芑山文集詩巻之一 旅詩』
附表/内閣文庫蔵白鹿書院本反切対照表・江戸日本への三字書の舶載
*書誌 *引用・参考文献 *同音字表


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